ながさき井戸端パーティー

ながさき井戸端パーティー

井戸端people

2022年12月22日

和の心「着物」を通して人とつながる。着物をつなぐ会 代表 松尾 直美(まつお なおみ)さん

今回の井戸端peopleは、「着物をつなぐ会」代表の松尾直美さん。
着物文化を守るため、タンスに眠っている着物や帯などの譲渡会を行っています。譲渡会は、初心者も気軽に参加できるあたたかい雰囲気で、着物の魅力について語らう場にもなっています。
フォーマルな着物だけでなく、カジュアルなデニム地の着物をさりげなく着こなす松尾さんに「着物は敷居が高い」というイメージを覆す、今どきの着方や簡単なお手入れ方法など、着物を身近に感じるお話をたくさんお聞きしました。長崎の素敵な着物ライフを覗いてみませんか?

 

Q着物に興味を持ったきっかけは?

 

今から考えると小学生の時に叔母がお茶を習っていると聞いて、なんとなく羨ましかったのを覚えています。その頃からお茶もそうですが、「和の文化」に興味があったんでしょうね。日本人のDNAでしょうか?社会人になってからお茶を習い始め、着物を着るようになって正絹(シルク)の美しさや素材の良さを感じました。そして、外国の方も着ているけど、やっぱり私たちが一番似合うなと(笑)。

 

Q日常的に着物を着られますか。

 

私は、仕事もあるので着る機会は多いですね。しかし、着物を着ていると言っても、例えば今日のようにデニム着物を洋服の上に着る和洋折衷のスタイルの時もあります。ワンピースやコートのようにデニム着物を着ているだけなので、着物を脱いでジャケットを羽織れば、全く別の恰好になります。予定に合わせて簡単に脱ぎ着できるのもデニム着物の魅力の一つで、一日のうちで着物だったり洋服だったりします(笑)。

 

――着物は、「敷居が高い」「お手入れが大変」というイメージがありますが、どうですか。

 

「敷居が高い」というイメージは、フォーマル着物からきているんじゃないかな?フォーマル着物って着る場所が限られますが、普段着るカジュアル着物だともっと気軽に着られます。その中にデニム着物も含まれるんですが、Instagramで「#デニム着物」と検索すると沢山の写真が出てきます。和洋折衷のスタイルなど、着方もたくさん出てきますよ。
お手入れもデニム着物は洗濯機にかけられるので大変だと思ったことはありません。今日は汚れそうかな!?と思った時にはデニム着物を選びます。
他には「袷(あわせ)の着物」と言って裏地が付いている着物を10月~4月頃迄着るんですが、それは自分で洗うと表地と裏地の収縮率が違って大変な事になるので個人では洗えないんです。でも、着物を羽織る前に下着や長襦袢(ながじゅばん)を着るので着物自体それほど汚れないんです。男性が、背広を着るのと似ているかな?背広を毎回洗わないのと同じで頻繁に洗う必要はないんですね。だけど、ウールの着物だったら単衣(ひとえ)なので洗っても大丈夫。昔の方はウールをよく着ていたみたいです。
ただ、ウールは虫食いが多いですね。ウールを扱っている人から言わせると、ウールに虫がつくんじゃなくて、ウールにこぼした食べかすとかの汚れに虫がついちゃう。メンテナスをきちんとしていれば、ウールに虫が付くことはないそうです。
もし、着物にシミがついてしまってもう着られないと思ったら…私はリメイクして洋服にしちゃいます。

 

――着物を洋服に?

 

私が親からもらった着物にシミがついていて、どうにかならないかなと思っていた時に、あるイベントで出会った方が「型染」の先生で、そのシミについて話すと「シミのところに柄を足す型染という技法でシミを隠せるから、今度体験にきたら!?」とおっしゃってくださって、その体験がきっかけで私は型染をやるようになって、これまでお客様の着物のシミも隠してきました。私としては、出来るだけ着物のままで後世に残して欲しいと思っているので、シミがついてしまったら、そこに柄を入れて、また新鮮な気持ちで着てもらいたいという思いがあります。でも、「もう着物は着ないので」とおっしゃる方も多く、着物のリメイクもご提案するようになりました。着物の半分のサイズで上着が一枚取れるんです。シミがたくさんあっても、綺麗なところが半分あれば上着が一枚作れる。うまくいけば2枚とか上下作れたりもします。

 

Q着物をつなぐ会を始めたきっかけは?

 

知人から「こういう着物があるんだけど」と見せてもらった着物に小さいシミがあったので、直せるんじゃないかと提案したら「もう着ないかなぁ、誰か着る人がおったらやるとにねぇ」って。それじゃあ、私がもらって、誰か欲しい方に譲ろうかなという話になったのがきっかけ。自宅で譲渡会をやっても良かったんだけど、もっと開かれた場所で交流会という形だったら、着物を着る、着ないに関わらず、興味のある方同士でいろいろな話が出来て楽しいかな!?と始めました。回を重ねるごとに活動に賛同してくださった方からの譲渡品も増えています。
綺麗な着物や帯が多いので、早くどなたかに気に入ってもらってお嫁に出したいですね(笑)。

 

――交流会をして良かったと思う瞬間は。

 

着物を譲る方からもらう方へ着物を手渡す場面に立ち会えると嬉しいですね。縁がない人同士が着物を通して縁が生まれていくっていうところがあるから、それが一番良いかな。なるべく着物に対する思い入れだったりとか物語があるはずだからそれを聞いて、もらった方が「じゃあ、次はこの着物をいただいて自分がつないでいく」っ思ってもらえると嬉しいですね。あとはね、着物をもらった人がその着物を着て、どこかにでかけてくれたりとか、交流会などに来て見せてくれる時が嬉しい。活用してもらってるなあって。

 

――交流が生まれやすい環境、雰囲気づくりで大切にしていることはありますか。

 

ひとりでいる人がいないように気を付けています。誰かと誰かが喋っていて、ひとり退屈そうにしている人がいたら申し訳ないなと思うから。初めて参加する人ってやっぱりドキドキしながら来るでしょう。それなのに嫌な思いして帰ってほしくない。なるべく輪に入ってもらえるように誘導したりとかしゃべりかけたりしていますね。

 

Q着物に興味を持っている方へ

 

交流会を始めて、みんなが結構着物のことで悩んでるってことに気づきました。交流会だったら先輩もいれば、これから着ようかなっていう人もいたりして、着たいけど、着る場所がないとかメンテナンスの悩みとか年代問わず教えあったり共有することはができます。私が知らないことは、メンバーの人に「これどうしてる?」って聞くと、みんなそれぞれ「自分はこうしてるよ」って。あと、ネットだと、文字情報で覚えようとしても覚えきれない。「この素材って〇〇だよ」とか「糸によりをかけて…」とか書いてあってもイメージしづらいですよね(笑)。例えば、「大島紬」ってこういうものだよって言われたら、実際に触ってみて「あ、こんなにひんやりするもんなんだ」って実感できると思うんです。
それから、こんなこと聞いたら馬鹿にされちゃうかなとかあるじゃないですか?全然平気(笑)だから、まずは来てください!(笑)着物を持っていなかったら持って帰って活用してください。無理することなく、着物でおしゃれしましょう。

 

Q今後の計画や夢

 

着物のことだったらここに来て聞こうってなるくらい「着物をつなぐ会」の認知度が上がるっていうのが、目標ではありますね。交流会を始めて時間が経ちますが、最近、ずっと行きたいと思っていたけど、来られなかったって方が来てくれるようになって、「継続は力なり」って思います。今は、参加者の年齢層が高くて50代以上が8割だけど、もっと若い方に来てほしいです。若い人にこそ着物を着てもらいたいですね。そして、長崎の着物人口が増えてきたり、発信する場になったら良いなあと。
あとは、成人式とか着物を着るチャンスって人生の節目節目にあるんだけど、そこで着なければ一生着ないかもしれない。だから、例えば、二十歳っていう着物を着るチャンスの時に妊娠とか仕事の都合とか経済的な理由で着られない人に、サポートできる人たちで着せてあげたいですね。
イベントを企画するとかあまり得意ではないんですど、最近そういう場を作らないと着られない人がいるんだっていうことをよく感じるから、今後は、着物を着る場所を作ってあげたいですね。

松尾さんが運営する「染趣庵」のSNSにて「着物をつなぐ会」の情報を発信しています。

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