井戸端people

2023年01月20日

南部地区活性化のために。 深堀 陽水さん(長崎南商工会青年部 部長)

 

今回の井戸端peopleは、会社勤務の傍ら、長崎市南部(以下、南部)の活性化のために奮闘している深堀陽水さん。「南部は地元を盛り上げようと動いてくれる人たちがたくさんいます」と語る深堀さんは、いつも「誰か」のために行動するかた。地元の子どもたちとアーティストによる南部5か町の愛唱歌づくりや、南部のお祭り「五歌祭(ごかっさい)」の開催に尽力しました。他にも、野母崎を巡るスポーツイベント「のもぶらディックウォーク」など参加者全員が楽しめる多くのイベントを支えてきました。

「自分は空気のような人間です(笑)」と、控えめな人柄が印象的ですが、南部の話になると瞳を輝かせて熱く語ってくれました。

 

Q.南部で地域活動を始めたきっかけとは?

 

30歳の時に、東京へ転勤になって長崎から離れた時期があったんです。5年半程、東京で過ごした後、長崎に戻るタイミングで父が南部で経営する会社の仕事に就き、同時期に長崎南商工会の青年部に入りました。東京から長崎に戻る時、地域の活性化のためにできることをしたいと思ったんです。そう思ったのは、僕がもともと南部にある香焼町の出身で南部への思い入れが強いということと、僕自身、昔からずっとイベントに関わる仕事がしたかったからだと思います。学生の時にアルバイトでよくイベントの手伝いをしていたので、その経験を活かしたいと思ったのも理由の一つです。

 

井戸端パーティーに投稿していただいた、野母崎を舞台にノルディックウォーキングを行う「のもぶら・スリー」では、86名もの参加者が集まり、青空のもと、みんなで目的地まで向かい、笑顔でゴールしました。(報告一覧ページより)

 

Q.これまでに「のもぶら・スリー」のように関わった企画について教えてください。

 

特に思い出深いのは、2020年に開催した「ドライブシアター」。コロナの影響で次々にイベントが中止になっていた時期です。「イベントを中止にすることは簡単だけど、どうやったらできるかを考えて工夫したら良いんじゃないか」って思ったんです。そこで、ドライブシアターを三和町時代にしていたことを聞いたことがあったので、「ドライブシアターなら、人との接触を避けて多くの人が楽しめる!」と考えたんですが、当時の資料とかほとんど残ってなくて、右も左もわからず、本当に大変でした(笑)。だけど、参加したかたから「また開催してください」って声をいただいたりして「やって良かった」って心の底から思いました。
他には、「今、コロナで飲食店も大変だから、お弁当のドライブスルーをするのはどうだろうか」という声をきっかけに、ドライブスルー形式で南部の色々なお店のお弁当を買えるイベントを行いました。こちらもお客さんの反応は良かったですね。僕自身、良い出会いもあって。

 

―良い出会いとは?

 

水仙マンとの出会いです。前から、水仙マンって若い子が野母崎の魅力発信などを頑張っていると聞いていて、会いたいと思っていたんですが、お弁当のドライブスルーのイベントの時に手伝いに来てくれて。初対面だったけど、彼の地域に対する強い思いを聞いた瞬間に「あ、彼とは合うな」って思いました(笑)。僕と彼の歳は一回り以上離れていますが、彼は、地域を盛り上げるために、ずっと僕が求めていた若くて元気があって自分からも発信する人材でした。今は、彼がわからないことは僕が今までに経験したことを活かして、彼が動きやすいようにマネージャーみたいな役回りでサポートしています!

 

野母崎の魅力を発信する非公式キャラクター水仙マン(写真右)

 

―地域のお祭りを受け継いで生まれた「五歌祭(ごかっさい)」について。

 

高島で活動しているグループ「RAINBOW MUSIC」から高島と伊王島の曲を作ってるって話を聞いたんです。その時、それなら五か町の曲を作ろうよって話になって、香焼・三和・野母崎の曲も子どもたちが考えた「地元の宝物」を歌詞に反映させて、五か町ソングができたんです。そして、せっかく5曲できたからお披露目できるイベントをしようという話になって生まれたイベントが「五歌祭」。もともと南部の祭といえば、野母崎町・三和町・香焼町・伊王島町・高島町の『五か町』が『活性化』する『お祭り』を目指した「五活祭」が有名だったんです。実際、たくさんのイベントに加えて花火もあがり、地域の人にも親しまれていました。最初は、名前を「五活祭」からガラッと変えようか迷ったんです。でも協議した結果、「五活祭」の時のように地域の人たちに親しんでもらえる「五歌祭」にしたいと話がまとまったんです。
この先、機会があればもっと地域の子どもたちをステージにあげたりしたいですね。昨年9月の「五歌祭」では、部員が4、5名で発表の場がない吹奏楽部の生徒たちが、ステージの上に立って演奏してくれたんです。五歌祭が終わった後に生徒たちから「人前で演奏できて嬉しかったです!」と言ってもらえて僕も嬉しかったです。

 

 

Q.コミュニケーションをとるコツは?

―様々なイベントを通して、多くの人と関わる機会があると思いますが。

 

僕は、緊張しやすくて人前で話すのは苦手なんですよ(笑)でも、「この人と話したい!」とか「この人から何か吸収したい!」とか思ったときは、初めての相手でもスイッチが入ったかのように、自分からアポイントを取ったりするんです。僕は、とにかく水仙マンをいろいろな人に知ってもらいたいという思いがあって、水仙マンを紹介したいと思う相手がいたら、僕からSNSを使ってメッセージを送って実際にお会いしたりします。それをきっかけにイベントが生まれたり、水仙マン自身も人とのつながりが増えていったようです。水仙マンが周りから評価されればされるほど、自分も頑張って良かったなって思います。僕は、自分が成功するよりも人が認められることが何より嬉しくて、どっちかって言うと僕はあまり表に出たくないですね(笑)。まあそんな感じで、コツとかはなくて。むしろ、僕は、人見知りなんです。だから、人見知りの僕が、話したいと思った相手に対して人が変わったかのように積極的に行動してしまうことは自分自身でも驚きます。普段は、「あれ、おったと?」って言われるくらい空気のような存在なんですけどね(笑)。僕は南部活性化のために裏方で、僕にできることを全力でやっていきたいです。

 

Q.活動をするにあたって大切にしていることは何ですか?

 

無理強いしないことですね。人それぞれのやりたいって気持ちを大切にしたいと考えています。商工会の青年部とかだけじゃなくて、若いかたでも上の世代でも地域を盛り上げたいっていう気持ちは年齢に関係なく、活躍できる場をつくれたら良いなって。頑張りたい人たちと一緒に協力しあって、楽しくやれば周りの人も何だろう、入ってみようかなってなるんじゃいかなって思います。地域が盛り上がれば、市内からも県外からも人が集まるようになるんじゃないかなと。

 

Q.今後、南部を舞台に深堀さんが目指すものは?

 

僕は、南部を若い子たちが夢を持てるまちにしたいです。やりたいことをやれるまちに。今、やりたいことがあるんだったら、やりたいと思っているうちに一歩踏み出して動いたほうが良いと思う。そしたら失敗してもまたやり直せば良いし、だめでもともとじゃないけど、一歩踏み出せば誰かがサポートしてくれる。僕の経験上の話ですが(笑)。
そして、南部の活性化が進んで、南部全体が経済的に潤って色々なイベントや活動ができるようになれば、長崎市全体、そして、長崎県内の他の自治体と連携して長崎全体の魅力を上げられるんじゃないかと思うんです。南部から長崎県内全体へ良い風が吹くと良いですね。
長崎は観光地だけじゃなくて山とか海とか自然もあるし、食べ物も美味しい。こういうものをもっとうまく宣伝できたらなって。県外の人が長崎に来た時に、長崎だけで一泊、二泊、三泊したくなるような魅力あふれる長崎を長崎県全体でつくりたいですね。

 

それから、実は僕、今年の3月いっぱいで長崎南商工会青年部を卒業するんです。年齢制限で(笑)。だから卒業後は、僕が会長をしている長崎半島活性化協議会で南部活性化のために動いていきます。この協議会には、「地域貢献したい!」と強く思う人たちが集まってくれています。もちろん、水仙マンもいますよ!(笑)
井戸端peopleにも取り上げられた武次さんと長崎市南部地区情報誌「shine!」や、南部の魅力発信のための映像を作成する予定です。ぜひ、多くのかたに見ていただきたいですね。

 

多くの人で賑わった「五歌祭(ごかっさい)」の様子。