井戸端people

2023年11月24日

野母崎をユニークに盛り上げ、魅力を発信 水仙マンさん

今回の井戸端peopleは、野母崎の非公式キャラクター 水仙マンです。2020年の「のもざき水仙まつり」で誕生して以来、愛する野母崎を中心に多くのイベントに登場し、長崎を盛り上げています。
南部の野母崎・三和・香焼・深堀・土井首・高島・伊王島の7地区が一体となって、10月に開催した音楽祭「七歌祭(ナナフェス)」では、元気な歌声を会場に届けました。
自身のインスタグラムアカウント「のもざきぐらむ」では、野母崎の人・もの・ことを“推薦”する人として、人と人の交流やおすすめのもの、イベントなどのホットな話題を日々発信していて、フォロワーは7,500人以上います。
「野母崎は人の温かさを感じられるまち。そこで自分が楽しむ姿を見てもらうことで、関わる人の人生をもっと楽しくしたい」と語る水仙マン。
今回は、水仙マンとともに、水仙マンに声も背格好もそっくり(!)、分身のように活動を支えるマネージャーの山崎楓太さんにもお話を伺いました。

 

Q.水仙マンさん、自己紹介をお願いします
2020年ののもざき水仙まつりの最中、1月11日に水仙の丘で生まれました。ちょうどそこに山崎君が通りかかって、「野母崎の活性化のためにはお前が必要だ。一緒にやろう!」とスカウトされたんです。その後、のもざき水仙まつりで「水仙マンと写真撮りませんか」って呼びかけたら400人くらいの人たちと写真が撮れたんですね。山崎君と写真を撮ろうと言っても誰も来ないけれど、僕の人気ぶりに山崎君も「これはいける!」って思ったみたいです(笑)。それから野母崎のあれこれを“推薦”する水仙マンとして年間を通していろいろな所に登場しています。
市南部を中心にしていたイベント出演は、最近では諫早や対馬など、長崎県内のイベントにも呼ばれるようになって、オリジナル曲を披露したりMCを務めたりしています。自分でイベントの企画もやっていて、年に2回のカラオケ大会には300人くらいの人が来てくれます。他にはフリースクールの子たちと一緒に遊んだり、サンタクロースの格好をして野母崎のまちをまわってお菓子を配ったり、Instagramの「のもざきぐらむ」では、そんな僕の野母崎での暮らしをそのまま配信しているので、ぜひフォローしてみてくださいね!

 

~~ここで人気者の水仙マンは次のイベントへ~~
~~入れ替わるように遅れてきたマネージャーの山崎楓太さんにお話を聞くことに~~

 

Q. 野母崎を愛する理由
都会に5年住んで故郷の野母崎に帰ってきた時に、自分の野母崎に対する感じ方や見方が変わったんですよね。実家に戻って両親の愛情を近くに感じて、野母崎ペーロンクラブでまちの人たちとまたつながって、都会だったら隣に誰が住んでいるかさえわからないけれど、野母崎だったらどこに誰が住んでいるかだいたいわかるし、会ったらあいさつをして手を振るみたいな、そういう人との距離の近さや温かさに、自分が住んでいたまちってすごくいいまちだったんだなって気づかされました。これは自分だけのものにしておくのはもったいないと思って始めたのが「のもざきぐらむ」です。自分の発信を見て、いろいろな人が「いいね」って言ってくれたり、県外からわざわざ来て感動してくれたり、そういう反応から野母崎のよさを逆に教えてもらって、野母崎をより好きになっていきました。

 

Q. 地方ならではのSNS活用法
──水仙マンとのInstagram「のもざきぐらむ」はフォロワーが7,500人を超えましたね。
発信を続けるなかで、野母崎は“人”がおもしろいって気がついたんです。人は変わり続けるし、ずっとストーリーがあります。しかも野母崎は人と人とのつながりがすごく濃くておもしろいんですよ。それで人をメインに紹介するようになりました。
「のもざきぐらむ」には水仙マンや僕だけでなく、地域のいろいろな人が登場します。今人気なのは「ガチャガチャ」なんです。「のもざきぐらむ」に出てくる野母崎の人たちの似顔絵をステッカーにして、地域のおじさんが当たるガチャガチャをつくったんですよ(笑)。1回300円なんですけど、今年の4月から始めて3,000回転ぐらいしています。「のもざきぐらむ」を見てくれている人からすると、会ったことのない地域の人でも親しみのある存在なんですね。毎年年末には「のもざきぐらむ」に登場する人たちの総選挙もやっていて、フォロワーも地域住民も楽しんでくれています。
自分がもし、地域に何か貢献できているとしたら、都会とは違う地方ならではのSNSの活用方法で地域力を高めていることなのかなと思います。5年前、自分が野母崎に帰ってきた時は、イベントといえば行政主体のもの以外ほとんどありませんでした。それが今、野母崎では毎週のようにイベントが開催されるようになりました。以前はイベントを企画しても、それを知るきっかけがなくて人が集まらなかったんですね。今は「のもざきぐらむ」が地域情報のプラットフォームのようになってきて、誰かがイベントを企画したら、「のもざきぐらむ」に載せることで人が集まりやすくなったし、人の力を借りることもできます。もちろんすべて「のもざきぐらむ」や水仙マンのおかげだとは決して思っていなくて、長崎市南部でそういう基盤がいろいろできてきたことが、先日の南部を挙げての音楽祭「七歌祭(ナナフェス)」の成功にもつながったんじゃないかと思います。

 

Q. 南部で育ち始めたイベントについて
──南部7地区が協力して初めて開催した「七歌祭(ナナフェス)」はどうでしたか?
南部5地区には、それぞれのまちの歌があって、それを発表する音楽祭「五歌祭」が行われていました。今年は高島を拠点に活躍する音楽グループ、レインボーミュージックが新たに2地区の歌をつくってくれて、南部地区が一同に会する一大イベント「七歌祭」として開催することになったんです。自分も何か役に立ちたいと「のもざきぐらむ」や水仙マンとの活動で培ったノウハウを活かして、「七歌祭」の宣伝に力を入れました。
当日は、ラムネの早飲みや麻婆豆腐の早食いなどの参加型イベントがあって、南部の35店舗の飲食店が出店してくれて、水仙マンも盛り上げ役として最高のパフォーマンスをみんなに見てもらうことができました。6,000人以上の人たちが来てくれたのは、運営メンバーのみんながそれぞれの役割を全うしてがんばったからこそだと思います。

 

──水仙マン主催の「のもぐらカラオケ大会」とは?
何か挑戦したいと思っている人が上手くなくてもいいから表現する機会になればと思って始めたカラオケ大会で、先日、野母崎文化センターで4回目を開催しました。野母崎の人気飲食店の協力を得て普段食べられない特別メニューを優勝商品に、キッズ部門と大人部門に分けて出場者を募集して、見に来てくれたお客さんの投票で優勝が決まる、手作りのイベントです。
今回は、水仙マンのイベントだったらと、初めて人前で歌う女の子が出場してくれて、みんなの前で堂々と歌ってくれたんです。親御さんもめちゃめちゃ喜んでくれていましたね。最終的にはその子が優勝したんですけど、人前で歌えた成功体験って、大人になった時にすごく心の支えになると思うんです。自分もそういう場に立ち会えてうれしかったです。

 

──ご自身も歌手を目指していた時期があったそうですね。
歌手になるためにはやっぱり都会に出なければいけないと思って、上京してオーディションを受けていた時期がありました。それが今、レインボーミュージックがプロデュースしてくれて、CDや音楽配信、カラオケ大会も主催するようになって、都会でないと叶わないと思っていた夢を、自分の地元で水仙マンが叶えてくれたんです。
一度は夢を求めて外に出たけど、自分の居場所はここだったんだなって本当に思います。「自分のままでいい」ってことに気がついて、ありのままを発信していたら、やりたかったことも実現できるようになったし、結果的に自分が楽しむことが、一番地域のためになるなって思うようになりました。
最近は、学校から講演を頼まれて、人権のことや地域の魅力を子どもたちに伝える機会が増えてきました。水仙の花言葉が「自己愛」なんですけど、講演でも「自分自身を愛することが大切。そうすれば相手も大切にできるよ」っていうお話をしています。

 

Q.みなさんへのメッセージ
野母崎を一言でいうと「人が温かいまち」だと思います。自分には野母崎っていう絶対的な居場所があるんですけど、いろいろな理由で自分の地元と言える場所や居場所がないっていう人が結構いると思うんです。そういう人たちにとって、野母崎で海を見るだけで落ち着くとか、何か落ち込んだ時に行きたくなるとか、そういう心のよりどころのまちになったらいいなと思います。
実際に「のもざきぐらむ」がきっかけで、移住してきてくれた人もいます。今年、野母崎には4家族が移住してきてくれました。新しい仲間が増えたことで、その人たちがダンススクールを始めて、地元の子どもたちの選択肢が増えました。大げさなようですけど、関わる人の人生が楽しくなって、何かよい方向に変わっていっているなって感じるのが、水仙マンも僕も一番うれしいんです。
これからも、気軽に会える水仙マンがいて、何か楽しいことが起きている野母崎での暮らしぶりをおすそ分けする活動を続けていきたいと思っています。
水仙マンも僕も、今に満足しているし、ただ今が最高なんです。

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水仙マンのInstagram「のもざきぐらむ」
https://www.instagram.com/nomozaki_gram/

 

 

〈こぼれ話〉水仙マンのフィアンセ?
──水仙マンはお子さんに大人気ですね。
子どもたちと一緒に遊ぶ機会も多いので、水仙マングッズを手づくりしてくれたり、手紙を書いてくれたり、結構ファンがいます(笑)。水仙マンには特技があって、人の顔やどういう会話をしたかをよく覚えているんです。その子としゃべったことやこの前一緒に遊んだ時のことを話すと、その子も喜んでくれます。
ある子が、「水仙マンと結婚する!」って言って、折り紙で指輪をつくってくれたんです。水仙マンもそれをちゃんと大切に貝殻の中に入れて取っています。だから水仙マンにはフィアンセがいるんですよ(笑)。