井戸端people

2025年05月21日

「第2のおうち」のような居場所を目指して せかんどはうす

ながさき井戸端パーティーを活用しているかたをご紹介する「井戸端people」。今回は、学校や家庭以外で、子どもたちが気軽に立ち寄り自由に過ごせる居場所づくりを行っている「せかんどはうす」の皆さんをご紹介します。メンバーは大学生を含む4人です。人間関係や学校のことなどで悩む子どもたちにとって、安心してのびのびと過ごせる「第2のおうち」のような存在になれたら、という思いで活動しています。今年の4月からは木鉢地区ふれあいセンターを拠点に活動を始めたメンバーにお話を伺いました。

 

―「せかんどはうす」として活動を始めたきっかけは何ですか。

私たち自身、学校が楽しくないと感じることや、友だちとの関係、部活、進路、家族のことなどで悩むことがたくさんありました。「SNSで悩みや思いをつぶやくだけではなく、実際に会って、先生や親とは違う立場で、ただただ話を聞いてくれたり、受け止めてくれたりする人がいてくれたらいいな」と思っていました。だからこそ、「自分たちが子どもたちにとってそのような存在になって、子どもたちが自分らしくいられる「第2のおうち」のような居場所をつくりたい」と思い活動を始めました。集まったメンバーは、中学時代に不登校になりかけたときに寄り添ってくれた友人と、高校時代の友人、大学生になって知り合った友人で、同じ思いを共有した4人です。大学ではそれぞれが幼児教育や福祉、心理学を専攻し、子どもに関わる仕事を目指すなかで、2022年に、「せかんどはうす」を立ち上げました。

 

―具体的な活動について教えてください。

木鉢地区ふれあいセンターで毎週火曜日の午後4時から午後7時に、小学生から高校生を対象に活動しています。未就学のお子さんも保護者と一緒であれば参加可能です。活動時間内は、いつ来ていつ帰るのも自由。気軽に立ち寄って、遊んだり、おしゃべりしたり、勉強したりと自由にのびのびと過ごせる空間を無料で提供し、子どもたちと一緒に過ごしながら、色んな話を聞いたり、学習支援を行ったりしています。子どもたちは、広い研修室で、思いっきり体を動かしたり、好きな場所に座っておしゃべりやゲームを楽しんだり、ステージの上に机を並べたコーナーで勉強やお絵描きをしたりと、思い思いに過ごしています。
また、新聞紙を詰めて補強した牛乳パックで作ったミニカーなど手作りのおもちゃや、フードバンクから提供されたお菓子やジュースを準備したりして、子どもたちが楽しみに来てくれるように工夫しています。

 

―4月から木鉢地区ふれあいセンターに活動拠点を移したと伺いしました。

元々は、出島交流会館で活動していましたが、なかなか子どもたちと触れ合う機会に巡り合えずにいました。そんな中、昨年11月に長崎市市民活動センター「ランタナ」から、木鉢地区ふれあいセンターで毎月開催される「ともだち食堂」を紹介され、ごはんを食べに来た子どもたちに学習支援などを行うボランティアとして参加させてもらうようになりました。そこで木鉢地区の子どもたちに関わるようになったのですが、月1回の活動だけでは十分な信頼関係を築くのは難しいと感じました。継続的な関係づくりを目指すためにも、子どもたちが立ち寄りやすい地域に拠点を移し、週1回活動を行うことにしました。「ともだち食堂」を運営されているかたを始め地域の皆さんの温かい支えのおかげで、4月からの活動を無事にスタートすることができました。月1回の「ともだち食堂」(第3水曜日の午後6時~午後8時)でのボランティア活動もこれまでどおり続けていきます。

 

―活動するうえで大切にしていることは何ですか。

「ここではどんな自分でも大丈夫」と思ってもらえるように、一人ひとりに寄り添うことを大切にしています。先生や保護者とは異なる立場だからこそフラットに、「今日、学校どうやった?」と声を掛けて子どもたちの話を引き出し、どんな話にも耳をかたむけるよう意識しています。子どもたちの方から「一緒に遊ぼう」と誘ってくれたり、少しずつ自分のことを話してくれるようになったりする変化に信頼関係の芽を感じ、その小さな変化がメンバーにとって大きな喜びであり活動を続ける原動力にもなっています。
また、少し年上の私たちの姿を通して、子どもたちが自分の将来の姿をイメージしやすくなってくれたらと考えています。特に、色んな選択肢があるということを伝えていくことが大切だと思っています。例えば、「不登校になったら終わり」ではなく、教室に行けなくても、家や「せかんどはうす」のような場所を活用して勉強する方法もあるよと。0か100かではなく、その中間にも様々な選択肢があるということを知ってもらえたらと思います。

 

―今後の活動や目標を教えてください。

まずは、より多くの子どもたちに「せかんどはうす」の活動を知ってもらって、安心して過ごせる場所として活用してもらうことが目標です。SNSで情報発信しながら、チラシの配布や掲示も行って活動を周知していきます。また、子どもたちが快適に過ごせる環境を整えるために、定期的にクラウドファンディングを行って、冷暖房の利用料や遊び道具の購入費用などを確保していきたいと考えています。
この春、社会人になったメンバーもいて、以前のように平日に4人揃って活動することは難しいですが、「動ける人が動く!できる人ができることをやる!」という、友人同士ならではの柔軟な連携プレーで活動していきます。メンバー全員が社会人になる時期も見据えて、例えば平日の活動に参加してくれる学生を募集するなど、活動を続けられる体制を模索しながら、将来的にはこの取り組みがモデルケースとなって他の地区にも広がっていくよう、一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。

 

せかんどはうす

【Instagram】

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