2025年09月25日
畦浜の美しい海を守り、次世代へつなぐために 角自治会老人クラブ 睦会 会長 柏木 カツヨさん
ながさき井戸端パーティーを活用しているかたをご紹介する「井戸端people」。今回は、三重地区にある畦浜(あぜのはま)の海岸清掃を3年間続けている「角(すみ)自治会老人クラブ 睦会(むつみかい)」会長の柏木カツヨさんにお話を伺いました。
―自治会の老人クラブである睦会ではどんな活動をされていますか。
毎月の定例会で「誕生会」を開催し、心ばかりのプレゼントに手作りのバースデーカードを添えて誕生月の人をお祝いしたり、食事会や旅行、忘年会など季節ごとの行事を行ったりして親睦を深めています。また、三重みなと公園内のトイレや多目的広場の清掃も県からの委託を受けて長年続けています。
今年の5月には、健康づくりを目的とした交流の場である高齢者ふれあいサロン「サロン・すみ」を立ち上げました。老人会とはまた別の取り組みですが、月に1回、睦会の定例会の前に開催しています。6月には23名が集まり、脳トレ歩行「スクエアステップ」に挑戦して、手拍子と笑い声が公民館いっぱいに広がりました。茶話会では手作りの丸ボーロをふるまい大変喜んでいただきました。地域の誰もが気軽に参加できる笑顔で楽しい憩いの場を目指していきたいと思っています。
―海岸清掃を始めたきっかけは何ですか。
海岸清掃は、地域住民参加で年に2回行われていますが、それだけでは増え続けるゴミにとても追いつかないと感じていました。そこで、睦会のメンバーに、ボランティア活動として「まずは自分たちの足元の海岸からきれいにしましょう」と呼び掛けたのが始まりです。私は三重に来て30年になりますが、初めて三重の海を見たときに「この美しい海を見ながら人生を終えられたら幸せだな」と思うくらい感動したことを覚えています。その海や海岸が汚れていく状況をそのままにしておくことはできないと。
睦会の皆さんも「そうよね。とにかく近場だけでもやりましょう」と賛同してくれて、3年前から毎月第2日曜日の朝8時から1時間程度、集まったメンバーで畦浜の海岸を清掃するようになりました。
―どんなゴミが多いですか?清掃活動の現状を教えてください。
ペットボトルや食品容器、レジ袋、発砲スチロールなどのプラスチック製品が多く、漁網やロープ、かご、釣り具などもあります。雨が降った後は大量に漂着していて、1時間足らずで軽トラック1台分になるくらいです。特にテトラポットや足場の悪い石の隙間に入り込んだゴミを取るのが大変です。足元に注意しながら作業していますが、やはり私たちだけでは限界があります。集めたゴミを運ぶのも力仕事ですので、若い人が参加してくれたらとても助かるなと思います。清掃活動は誰でも参加していただけるので気軽に参加してもらえたらありがたいです。以前、学童の子どもたちと一緒にやったのですが、活気があって楽しいゴミ拾いでした。その時に集めたシーグラスでアクセサリーを作るワークショップを公民館まつりで行ったのですが、子どもたちに大人気でした。「三重小学校区まちづくり協議会」の企画だったのですが、海洋ゴミへ関心をもってもらうよい機会になったと思います。
―柏木さんは「三重小学校区まちづくり協議会」の活動にも参加されていますよね。
今年の3月でまちづくり協議会の副会長を退任し、現在は構成団体でもある睦会の会長として携わっています。まちづくり協議会では、昨年の「三重地区みなと祭り」で「三重のまちづくりに関するアンケート」を行ったのですが、私の趣味がお菓子づくりということもあって、アンケート協力者に渡すお菓子を作って欲しいという話がありました。試作は地域の子どもたちと行い、プレーンと抹茶とココアの3色クッキーを作りました。子どもたちがこねた生地を棒状にして冷凍し、それを切って焼くという簡単なものでしたが、とても楽しんで作業してくれました。祭り当日は試作を活かし、3色クッキーを3個袋詰めにしたものを渡して大好評でした。
まちづくり協議会では、三重の盆踊りを伝統芸能として子どもたちに受け継いでもらうための練習や、農業体験の一環として、三重の特産物のかんころ餅を作るために、原材料の米とさつま芋の栽培から収穫までを体験し、美味しいかんころ餅を作る活動にも力を入れています。
―「三重地区みなと祭り」といえば、昨年に引き続き今年も「三重合唱クラブ」でステージに立たれると伺いました。
「三重合唱クラブ」は三重地区公民館の自主学習グループとして令和5年12月に結成しました。きっかけは、友人からの誘いで外海の神浦合唱クラブの練習に参加して合唱の楽しさに魅了され「三重でも活動できないか」と考えたことでした。神浦合唱クラブにご協力いただいて三重地区公民館で3回ほど合唱体験会を開いたところ、参加者からも「三重にも合唱クラブを作って欲しい」との声があがりました。神浦合唱クラブの先生に指導を引き受けていただき、現会員44名で毎月第1、第3水曜日の朝10時から12時まで活動しています。ユーモアあふれる先生のもと、脳トレ体操と入念な発声練習に始まって唱歌や童謡を中心に楽しく練習をしています。10月4日(土)に開催される「三重地区みなと祭り」では、被爆80周年の節目にあたり「クスノキ」を披露する予定です。ほかにも様々なステージイベントやコンサート、花火大会が予定され、各種露店も出店されますので、多くの方にお越しいただければと思います。
―リサイクル推進員も長く務められたということですが、これだけ幅広い地域活動を行う、その原動力は何ですか?
まずは、この年になるまで元気で動き回れることですね。健康に感謝、親に感謝です。今、この元気な時に、少しでも地域のために役立ちたいと思って活動しています。「どうにかなるさ」とあまり細かいことを気にせず、残りの人生を楽しむために活動していると思うことが秘訣です。そして何より、地域の方や活動に携わってくださる皆さんの協力があってこそと感謝しています。私は三重の出身ではありませんので、地域の行事や活動には積極的に参加して顔を覚えてもらえるように心掛けてきました。地道に顔をつなぎ一生懸命に活動に取り組むことで少しずつ私のことを分かっていただいたことが、今の地域の皆さんの協力にもつながっているのではないかと思います。
―三重地区への思いやメッセージをお願いします。
三重の美しい海と自然は地域の宝であり長崎の財産です。次の世代に引き継いでいきたいと心から思います。そのためにも、釣りや散策に訪れる方にはマナーを守って楽しんでもらえるようお願いしたいです。そして、若い人や親子、地域外の方にも気軽に海岸清掃に参加してもらって、活動そのものも次の世代につないでいくきっかけになったらと思います。子どもたちには何にでも参加して自分で体験するということをぜひやってもらえたらと。その中で、自然を守り、人と人との繋がりを大切にしながら、健やかに育ってくれることを願っています。
【畦浜の海岸清掃】
毎月第2日曜日 朝8時から1時間程度
※雨天時中止
※8月は市民大清掃で行います
(問い合わせ)三重地域センター(☎850-1111)